版元ドットコム加盟社のうち九州を拠点とする出版社が書誌情報、日々のあれこれなど、共同で運営・発信します
書評あり

 

介護のドラマツルギー
老いとぼけの世界

社会一般

村瀨孝生(著) / 安立清史(著)

発売: 弦書房

四六判  200ページ 並製
定価 1,980円 (消費税 180円)
ISBN978-4-86329-315-1 C0036
在庫あり

書店発売日 2025年09月30日
登録日 2025年08月19日

このエントリーをはてなブックマークに追加
 読書メーター  本を引用

書評情報

西日本新聞  

解説

介護現場で日々の営みから「人間」を考え続ける村瀨孝生氏と、九州大学で福祉社会学やボランティア・NPO論を研究してきた安立清史氏の二人が、本当に必要とされている介護について語る。

紹介

介護の現場で日々の営みから「人間」を考え続ける村瀨孝生氏と、九州大学で福祉社会学やボランティア・NPO論を研究してきた安立清史氏の二人が、本当に必要とされている介護について語る。老いてゆく人とそれを見守る人が織りなす言葉と言葉、体と体、体と言葉。老いの前では、言葉は無力になるという現実を前に、その掛け合いをひとつの劇場的なもの(ドラマツルギー)としてとらえ、「宅老所よりあい」のエピソードを新たな視点から考える。◆この本のどこかに介護の〈いま、ここ〉で必要なヒントが必ず見つかります。

目次

はじめに――村瀨孝生と「宅老所よりあい」の世界
  
   Ⅰ
心を手放す …………………………………………………………………村瀨孝生
  心を洗面所に置く
  トイレでの苛立ち
  息が合わない
  言葉を所有する
  手段化される言葉
  体に委ねる
  目的を達成しない言葉

介護にとって「ことば」とは何か ………………………………………安立清史
  一人に向けて
  命名をめぐるドラマ
  嘘ですが、マジでした
  名前はまだない/名前はもうない
  ストレイ・シープ(迷える羊)

   Ⅱ
もうひとつのこの世 ………………………………………………………村瀨孝生
  底辺
  新聞を支える人たち
  支配
  介護と社会
  衰退の拒絶
  機械文明の限界
  実感に存在する私
  拠って立つ大地

こころが離れていくときのドラマ………………………………………安立清史
  隠喩としての病
  Nさんのロシア行き
  「科学的介護」と「野生の介護」
  「よりあい」の逡巡と原点回帰
  「ディメンシア」と「認知症」の間で
  私の手放し

   Ⅲ
成仏と供養 ………………………………………………………………… 村瀨孝生
  立派な言葉
  生まれてはいけない言葉
  崩壊と再生
  申し送り
  負の力
  負の言葉と私たち

夢幻能の一夜…………………………………………………………………安立清史
  「お婆」を探すお婆さん
  介護という夢幻能
  石をパンに変えてみよ
  新人さん、迫真の現場報告
    「よりあい」が自分たちを発見する瞬間
    タブーに触れる
  カオナシとハツさんの部屋
    夢幻能を通り抜ける

   Ⅳ
「私」の手放し……………………………………………………………… 村瀨孝生
  いのちの笑み
  脳トレ
  降りてくる
  「私」の手放し

老人性アメイジング ………………………………………………………安立清史
  こんなになって……
  どうして・どうして・と考えている人たち
  受け入れられないことを受け入れる――死の受容・老いの受容
    老人性アメイジング
  私を手放す
  戦わない・戦い方/乗り越えない・乗り越え方
 
   Ⅴ
まるごとのいのち ………………………………………………………… 村瀨孝生
  「死にたい」でも「生きたい」でもない境地へ
  体同士の交流
  自意識から解放される

勝手にやってくる希望 …… ………………………………………………安立清史
  夜汽車と銀河鉄道
  「宅老所よりあい」の軌跡
  底辺にふれる
  「今、ここ」の世界
  しない・を・する
  永遠と一日
  勝手にやってくる希望

著者プロフィール

村瀨孝生(ムラセ タカオ)
特別養護老人ホーム「よりあいの森」「宅老所よりあい」「第2宅老所よりあい」の統括所長。
1964年生まれ。東北福祉大学卒業後、出身地である福岡県飯塚市の特別養護老人ホームに生活指導員として勤務。その後、福岡市にある「第2宅老所よりあい」に入職し、現在に至る。
著書に、『おしっこの放物線――老いと折り合う居場所づくり』(雲母書房、2001)、『ぼけてもいいよ――「第2宅老所よりあい」から』(西日本新聞社、2006)、『認知症をつくっているのは誰なのか――「よりあい」に学ぶ認知症を病気にしない暮らし』(共著、SBクリエイティブ、2016) 、『増補新版 おばあちゃんが、ぼけた。』(新曜社、2018) 、『あきらめる勇気――老いと死に沿う介護』(ブリコラージュ、2010)、『看取りケアの作法――宅老所よりあいの仕事』(雲母書房、2011)、『ぼけと利他』(共著、ミシマ社、2022)、『シンクロと自由』(医学書院、2022)など。
安立清史(アダチ キヨシ)
1957年生まれ。九州大学名誉教授。超高齢社会研究所・代表。専門は、社会学。高齢社会研究、ボランティア・NPO論。
著書に、『福祉社会学の思考』(弦書房、2024)、『福祉の起原』(弦書房、2023)、『ボランティアと有償ボランティア』(弦書房、2022)、『21世紀の《想像の共同体》―ボランティアの原理 非営利の可能性』(弦書房、2021)、『超高齢社会の乗り越え方―日本の介護福祉は成功か失敗か』(弦書房、2020)、『福祉NPOの社会学』(東京大学出版会、2008)、『介護系NPOの最前線―全国トップ16の実像』(共著、ミネルヴァ書房、2003)、『ニューエイジング:日米の挑戦と課題』(共著、九州大学出版会、2001)、『高齢者NPOが社会を変える』(共著、岩波書店、2000)、『市民福祉の社会学―高齢化・福祉改革・NPO』(ハーベスト社、1998)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

ご注文はこちらから 質問する

1,980円
(消費税 180円)

在庫あり

送料無料

オンライン書店で買う


最寄りの書店で買う