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夕暮れの走者
渋谷直人詩文集

文芸

渋谷 直人(著)

発売: 編集室 水平線

四六判  208ページ 並製
定価 2,640円 (消費税 240円)
ISBN978-4-909291-04-2 C0095
在庫僅少

書店発売日 2021年10月15日
登録日 2023年12月23日

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解説

1960年代から90年代まで書き継がれた詩・小説・散文、書き下ろしほか全21篇。〈人生は“受難”(パッション)に過ぎないのか〉。生涯を貫いた全身の問いがここにある。

紹介

 前作『遠い声がする 渋谷直人評論集』と対をなす一冊。1956年と62年の未発表原稿、2020年の書き下ろし、その他1960年代から90年代まで書き継がれた詩・小説・散文、全21篇。〈人生は“受難”(パッション)に過ぎないのか〉。実存をかけた全身の問いが、ここにある。
 「たしかに、歴史は巨視的に、発展するのでもあろうし、個々人には、その人なりの、公的使命や、たつきの任務もあろう。/しかし、人はそれのみでは生きないし、おのがじしの性癖やら趣味などによっても生きる。つまりは人は実存の生を歩ゆむ。况して宿命のような個性を抱えた者は、それによって生活を宿命づけられる。〔中略〕天皇制国家の権力と、独占資本の利益の結託は明らかだとしても、それへ立ち向う勢力は、決して強力だったとは言えず、むしろ、日々のたつきの途につくことで必死であったろう。私自身もその一員であり、やがて定職についたからとて、それに変わりはなかった。/ただ、おのれ自身の内奥の声におのずからにして從う習癖が身につく、即ち「実存」する生を、人は生きるのだ。/私の場合、それは「詩」のようなものであり、ここに掲げた感慨のようなものだ。/ただし、ひ弱で、傷つきやすい私のそれは、他の人びとの参考たり得るか否かは、分らない。私は私の実存を必死に生きたと、言おう」(本文より)

目次

ふさわしからざる巻頭言


牡丹と春雷
小兄さん
風と蛹と わが戦後
若き日の断章
幻想の街で
夢魔Ⅰ
夢魔Ⅱ
夢魔Ⅲ 地獄谷
林間幻想
秋の断想・二篇
散文詩・二題


富士山行
冬山行 奥多摩 川苔山から高水三山へ


夜叉神峠へ
夕暮れの走者
詩一つ
川に魚を見たり
鳥と魚のいる風景


家さ 帰ろうよう 人生の終末期を迎えて

著者プロフィール

渋谷 直人(シブヤ ナオト)
1926年生まれ。1945年8月、日本海軍(内地分遣隊)から復員。故郷・山形県米沢市へ帰還した日、父死す。次兄はフィリピン・レイテ島、カンキポット山で戦死。早稲田大学教育学部卒業。東京都豊島区東長崎に住み、詩人・大江満雄の知遇を得る。この頃、文芸誌『存在』『氷河』同人。川崎市立中学校教諭を経歴。『秧鶏』『風嘯』等に詩や小説、評論を発表してきた。著書に『鳥と魚のいる風景』(近代文藝社、1982年)、『大江満雄論 転形期・思想詩人の肖像』(大月書店、2008年)、『遠い声がする 渋谷直人評論集』(編集室水平線、2017年)、編書に『大江満雄集 詩と評論』(共編、思想の科学社、1996年)がある。

関連リンク

遠い声がする 渋谷直人評論集

上記内容は本書刊行時のものです。

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