方向性詩篇
大谷 良太(著)
四六判 110ページ 上製
定価 2,970円 (消費税 270円)
ISBN978-4-909291-05-9 C0092
在庫あり
書店発売日 2023年05月31日 登録日 2023年12月23日
解説
大谷良太、第5詩集。2017年から2022年までの作品25篇を収める。
紹介
大谷良太、第5詩集。2017年から2022年までの作品25篇を収める。
「「ひと汗」という作品がいいと思った。坂道の上にある精神科の入院病棟、または朝鮮初級学校といった、日本という閉鎖的な社会から見て他人であり続けている場所についての思考や思い出を、虚構を交えて語っている。そこでは「差別」を問題にする以前の、どこか割り切れない、ぼんやりとした大きなイデアが大谷の前に現れて、大谷にとってなにか重大な問題になっているようである。こうだ、というのではない、明示しえない複雑な問題。これを大急ぎで断定するのは詩の仕事ではない。「僕はやはり僕なりの仕方で、「坂の上」を自分に繫げてみたいんだろう。」と大谷は書いている。こういう内面の急くことのない丁寧さ、根気強さが大谷良太の詩の仕事として、非常に好ましいように感じられる。」(中尾太一)
「詩集には「地雷原」「永訣」「抗争」「ゲリラ部隊」、挙げればキリがないほど、不穏な単語が満ちあふれている。革命や闘争への志向は、大谷氏が生まれる頃にはもう下火だったと思うが、そんな荒廃を郷愁のような感慨で追慕する。「黙秘した夏、/テトラポッドに登った。」(「海峡」)薬缶で湯を沸かし、メビウスやラークを燻らせながら、海峡を眺めて黙り込む男がいる。言葉は、最も遠くのターゲットを的確に撃ち抜くことのできる恐ろしい武器だ。「対話」においてターゲットとして設定され続ける他者という境界を消し去り、言葉が本質的に内包する暴力性を無力化するには、恋文という形式は有効かもしれない。フラッシュバックのように瞬間的に侵入する不穏な追憶の先に、走り出す子供たちの風景が重なる詩集である。」(駒ヶ嶺朋乎)
目次
Ⅰ
じゃあね
秋冷
洪水伝説
対話ノート
ひと汗
百年
桜と風邪
2018.5.13 Bloody Sunday
葬り火
夕立(ソナギ)
方向性詩篇
海峡
Ⅱ
カーテン
凍る地方から
暫定的生活
草木の戦記
美しい村
地上の人
廃墟
地獄(ヘル)
シェパード
dandelions
劫火
チューブ
supernova
著者プロフィール
大谷 良太(オオタニ リョウタ)
大谷良太(おおたに・りょうた)1979年、静岡県生まれ。神奈川県出身。詩集に『薄明行』(詩学社、2006年)、『ひなたやみ』(ふらんす堂、2007年)、『今泳いでいる海と帰るべき川』(思潮社、2009年)、『午前五時』(書肆ブン、2016年)、『大谷良太全詩 二〇〇〇—二〇一六』(書肆ブン、2022年)がある。現在、京都府在住。 上記内容は本書刊行時のものです。
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