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 西南学院大学博物館研究叢書

印刷文化の黎明
インキュナブラからキリシタン版まで

下園 知弥(編集) / 勝野みずほ(編集)

発売: 西南学院大学博物館

A5変型判  48ページ 並製
価格 660円 (消費税 60円)
ISBN978-4-910038-54-4 C0000
在庫あり

書店発売日 2022年06月15日
登録日 2022年06月07日

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紹介

 グーテンベルクが活版印刷術を完成させて以降,1500年までに印刷された書物を「インキュナブラ」と呼ぶ。インキュナブラは今日の印刷本の祖先であるが,挿絵や装飾が手作業で描き込まれるなど,印刷本と写本の両方の性質を併せ持っていた。
 活版印刷術はヨーロッパの諸都市に伝播し,1590(天正18)年には布教のため来日したイエズス会の巡察師ヴァリニャーノの発案によって日本にもたらされた。キリシタンたちが印刷・出版した書物を「キリシタン版」と総称し,1591ー1610年頃までに50タイトル以上の書物が印刷されたと考えられている。
 かつての面影を残しながらも変化していく書物のすがたを通し,西洋印刷文化の黎明期に迫る。
【2022年度西南学院大学博物館企画展Ⅰ図録】

目次

ごあいさつ[西南学院大学博物館館長 伊藤慎二]
第1章 写本から印刷本へ
 【トピック】「印刷革命」以後の写本たち[西南学院大学博物館教員 下園知弥]
第2章 印刷都市の拡大
 第1節 Nürnberg
 第2節 Venezia
 【トピック】黎明期の「書籍市場」[西南学院大学博物館学芸調査員 勝野みずほ]
第3章 日本伝来
 【トピック】日本における木版印刷:奈良時代から江戸時代まで[西南学院大学博物館学芸研究員 鬼束芽依]
寄稿 歴史を歩んだ「活字文化」:活版印刷の現場から[文林堂店主 山田善之]

前書きなど

「ご挨拶」より

 西南学院大学博物館では,2006(平成18)年の開館以来,キリスト教文化・日本キリスト教史・ユダヤ教祭具・地域文化といったさまざまな分野の資料を収集し,調査研究を行い,展示教育活動につなげています。西南学院大学博物館の所蔵資料の中にはインキュナブラ(初期の活版印刷本)に関するまとまった数のコレクションがあり,その一端は2017年開催の「キリスト教の祈りと芸術」や2019年開催の「宗教改革と印刷革命」といった展覧会で紹介してきました。しかし,西南学院大学博物館が所蔵するインキュナブラのコレクションを一つの展覧会ですべて出品したことは過去に無く,本展がその初の機会となります。
 「印刷文化」をテーマとする本展では,インキュナブラのみならず,印刷本に先立ってヨーロッパで普及し初期活版印刷本の様式にも影響を与えた西洋写本や,キリシタン時代に日本で印刷されたキリシタン版など,さまざまな関連資料も展示しています。ありし日の書物のすがたを紹介する本展が,長い歴史を経てこれからも継承されていく印刷文化についての理解の一助となれば幸いです。
 末筆ではございますが,本展覧会の開催にあたって,ご協力を賜りました関係各位に厚く御礼を申し上げます。

                西南学院大学博物館館長 伊藤慎二 

著者プロフィール

下園 知弥(シモゾノ トモヤ)
1987年生まれ。京都大学大学院文学研究科思想文化学専攻西洋哲学史専修(中世)修士課程修了。現在,西南学院大学博物館教員(助教・学芸員)。専門はキリスト教思想・美術。主な研究論文に「発展する隣人愛─クレルヴォーのベルナルドゥスの神秘神学における『愛の秩序』の一側面─」(『日本の神学』第60号,教文館,2021年)がある。
勝野みずほ(カツノ ミズホ)
1999年生まれ。西南学院大学大学院国際文化研究科国際文化専攻博士前期課程在籍。専門はデザイン史・図像学。西南学院大学博物館学芸調査員。

上記内容は本書刊行時のものです。

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