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新聞広告に見る銃後の福岡

歴史・地理

長副 博之(著)

発売: 海鳥社

B5判  140ページ 並製
定価 2,970円 (消費税 270円)
ISBN978-4-86656-169-1 C0021

書店発売予定日 2024年07月25日
登録日 2024年06月27日

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解説

静かに戦争の影が、少しずつ、そして確実に人々の生活を息苦しい方へ押しやっていく状況を、当時最先端の文化や情報を発信する場であった百貨店の展覧会広告や当時の資料をもとに繙いていく。図版300点超、オールカラー。

紹介

大正時代末から昭和初期にかけて福岡に次々と開店した百貨店は、エレベーターやエスカレーター、屋上遊園地などを備えた時代の一歩先を行く売り場、さらに最先端の文化や情報を発信する展覧会やショーウインドーで人々の胸をときめかせ、時代を牽引してきた。しかし、戦争激化に伴う物資不足により、国策に沿ったプロパガンダのための展覧会が増えていき、同時に人々の暮らしも大きく変化していく。
昭和6年から終戦までの百貨店の展覧会や当時の資料から、戦時下の世相と暮らしを映し出す。
掲載図版300点超

目次

福岡 希望に満ちた時代(昭和11年まで)
 百貨店の進出/百貨店と博多築港記念大博覧会/博多築港事業/デパート戦争
 岩田屋百貨店の開店/デパートのディスプレイ/戦時下の百貨店

すでに非常時であった時代(昭和6年-)
 満洲への進出/満洲国/軍用兎の飼育ブーム/献納機

兵隊さん万歳の時代(昭和12、13年)
昭和12年:慰問葉書/慰問品/三国防共協定
昭和13年:戦時貯金・戦時国債/木炭自動車/産めよ殖やせよ/虫歯予防/禁酒運動

精神総動員から対米英戦へ(昭和14-16年)
 昭和14年:聖地・旅順巡礼/徒歩旅行の流行/傷痍軍人/聖戦大博覧会
 昭和15年:国民服/戦時下の婦人服/節米運動/紀元二千六百年
      聖地巡礼・天孫降臨の地
 昭和16年:関門トンネル開通/代用品/報国店/隣組/防諜運動

「撃ちてし止まむ」の時代(昭和17、18年)
 昭和17年:大東亜建設大博覧会/国威高揚の場としての元寇防塁
      小さくなっていく新聞紙面
 昭和18年:防空防火/疎開/配給制度/物価統制/食糧の窮乏/銅像殉死/石炭増産

終焉から復興へ(昭和19、20年)
 終戦間近のデパート/終戦の年のデパート・勝札/伝単/戦後復興期の百貨店 

版元から一言

 身近で粗末な紙切れの中に潜んだ言葉や画像が我々に訴え、徐々に洗脳を始めるのである。気づかぬうちに……。
 本書は、絵葉書やチラシといった紙切れと新聞広告から、戦時下の福岡の市民の生活を見ていくことをテーマとしている。その中でも大きな軸として据えているのが、昭和11年以降のデパートの展示会の広告である。
 大正期から昭和期にかけて、都市の発達とともにデパートは大衆文化の発信地として大いに発展していく。
 しかし、満洲事変・日中戦争が開戦し、戦争が長期化してくると、静かに戦争の影が、少しずつ、そして確実に人々の生活を息苦しい方へと押しやっていく。
 デパートにおいて、主力商品である奢侈品の販売が憚られるようになり、長引く戦闘により商品が枯渇すると、入れ替わるように国策に基づいた展覧会が数多く開かれ、代用品や国民服などが売られ、精神総動員の場としての役割を担わされるようになってくる。
 国家による統制は、じわじわと些細なところから、様々な方向から、いつの間にか進行していき、気が付けば、身動きが取れない状況になっているのである。そういったゆっくりと身動きが取れなくなっていく時代の流れを少しでもお伝えできれば幸甚である。
(本書「はじめに」抜粋)

著者プロフィール

長副 博之(ナガソエ ヒロユキ)
1962年生まれ。田川郡糸田町出身。熊本大学文学部地域科学科(民俗学専攻)卒業後、大学職員。郷土史家、資料収集家。著書に『絵葉書が映す九州帝国大学と箱崎』(2022年、海鳥社)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。

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