中川道之作品集
満州 東京 郷里・熊本を描いた父をしのぶ
B5判 114ページ 並製
定価 1,980円 (消費税 180円)
ISBN978-4-87035-757-0 C0071
在庫あり
書店発売日 2023年03月31日 登録日 2023年02月06日
書評情報
熊本日日新聞
評者:鬼束実里 |
目次
はじめに
中川道之の経歴
第一章 画集
【満州時代】
作品
中川道之の手記(抄)「渡満」「怪しき憧れ」
満州の写真
中川道之と満洲 江川佳秀
【東京時代】
作品
【熊本時代】
作品
中川道之氏の貴重で幸運な研鑽の作品 井上正敏
【満州街角スケッチ】
スケッチ
美術教師・洋画家・信仰に生き、格闘した中川道之の画業 坂田 燦
第二章 中川道之をめぐる三人の人間像
佐久間修さんとの縁
ペリリュー島で戦った弟・中川州男
郷土史家、漢文学者として生きた兄・中川斎
寄稿者紹介
あとがき
前書きなど
父・中川道之が天に召されたのは、1964(昭和39)年10月10日でした。この日、前回の東京オリンピックが開幕し、日本列島が高揚したムードに包まれる中、69年の生涯を終えたのです。
画家を志し、中国・満州(現在の中国東北部)、東京、そして、郷里・熊本で、キャンバスと向き合いました。しかし、後半生は病に侵され、絵筆を置かざるを得ませんでした。無念の思いは察するに余りあります。ですが、激動の時代の厳しい境遇の中にあり、孤高にして清廉、ゆるぎない愛情に満ちた筆致で描かれた風景画・人物画・街角スケッチ等が、一筋に画道に精進して、わが道を歩んだ足跡として遺っています。
父が生きてきた証を伝えたい。
そうした思いは、私たち、年齢を重ねるごとに高まり、この度、画集の発行を思い立ちました。
父は1934(昭和9)年、満州から帰国し、作品も終戦の混乱による散逸を免れました。また、父の帰郷とともに、熊本市に運ばれた作品は1945(昭和20)年の熊本大空襲、1953(昭和28)年に熊本を襲った白川大水害、2016(平成28)年の熊本地震の被害を受けることもなく、「四度の危機」を乗り越えました。これはある種、「奇跡的」かもしれません。
この画集のページをめくりながら、父の半生や画境、時代の空気を感じ取っていただければ、幸いです。
私たちは、2015(平成27)年、父の没後50周年を記念して、熊本市中央区国府3丁目の地に、父の名前を冠した「中川道之ギャラリー」を開きました。折に触れて、父の遺作を公開しているほか、絵画や写真、手芸など作品の発表、絵画教室、論語教室、音楽活動、サークル活動など、地域の方々に幅広く使ってもらっています。ご興味のある方々、ぜひ、足をお運びくださいませ。(「はじめに」より)
著者プロフィール
星田 友子(ホシダ トモコ)
1934(昭和9)年、中川道之が画才を磨いていた東京で、長女として誕生。両親の帰郷で、熊本市に移り、熊本県立第一高校、熊本大学教育学部を卒業。
熊本市立清水小学校で教諭を務めた後、結婚。夫の転勤に伴い、大阪市、岐阜県、岡山県で暮し、熊本市に戻って、カワイ音楽教室のピアノ教師を務めた。
現在もピアノと絵画の制作に親しんでいる。
中川 澄子(ナカガワ スミコ)
1942(昭和17)年、次女として、熊本市で出生。熊本県立第一高校を卒業。洋裁を志し、熊本県三角町(当時)の三角文化服装学院を経て、東京の東京文化服装学院(当時)を卒業後、熊本市に帰郷。
婦人服店を開業したのち、縫製やその指導を行う各種学校「中川カッティングスクール」を開設し、約40年間、運営した。趣味は生け花と読書。 上記内容は本書刊行時のものです。
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