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虚を注ぐ
土の仕事と手の思索

山本 幸一(著/文 他)

発売: 石風社

A5判  248ページ 上製
定価 2,750円 (消費税 250円)
ISBN978-4-88344-302-4 C0072
在庫あり

書店発売日 2021年06月14日
登録日 2021年05月24日

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紹介

一陶芸家の鮮烈な作品と遺稿

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主要目次
口絵(カラー) 陶作品 個展ダイレクトメール集
本文 「虚を注ぐ」(熊本日日新聞連載「わたしを語る」)
   山幸モンタナ通信
   山幸窯つれづれ
   ダイレクトメール・メモ
   山幸作品について 浜田知明・阿部謹也他
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 私が山幸の作品に感じるもの、それは天与の資質であると思うが、テクスチャアに対する繊細な感覚と清潔さである。平面と局面、方形と円筒の大胆な構成。粘土を切り割くような鋭い切り口、その潔さに魅かれる。浜田知明(版画家・彫刻家)

 熊本の中心部に屹立する金峰山の中腹から一筋の煙が立ち昇るのが見えると山幸が焼いているなと思う。額の秀でた男が泥をこね、土を焼く。大地の破片を切り取り、新たな大地を作るかのような栗鼠や狸に見守られながら土を焼く。窯の火を落とすとそこには奇妙に重量感のある不思議なものが生まれている。かつて地上に存在したことのないもの、何の役にも立ちそうもないものが生まれている。そんな仕事をしている男の姿が見える。阿部謹也(西洋中世史)

目次

口絵(カラー)
山本幸一の仕事
作品展ダイレクトメール 

本文
山幸窯つれづれ
 器と非器 イタリア・アメリカレポート
 シチリア 眠らせぬホテル
 されど小道具
 窯の犬
 町家の土間と山下洋輔さん
 Mさんのこと
 オブジェで脱皮する主
 イノシシと人間の攻防
 骨壺のことなど 
 松浦さんの怒りの場面
 母の機嫌

山幸モンタナ通信
 雪で氷点下
 身体に収まりきれぬ
 理解は誤解の蓄積
 一歩出れば牧場
 トレインキルンを焚く
 窯焚き終了
 なんでも重い
 果てしなき日々
 美術館で展覧会
 レッドロッジ通信
 ロックな窯焚き、作風に刺激

虚を注ぐ
 機能性の縛りからの解放感
 線香臭う祖父母の家
 続かなかった田舎暮らし
 市営団地の記憶
 悪童の世界に顔出した文明
 懲りない日々
 シュークリームのひと
 野球漬けだった中学時代
「けんかえれじい」さながら
 吉富先生と働さん
「わが身は大海の中にある」
 ヨット部から大学騒動へ
 古くさい権威主義
 目まぐるしく過ぎた5カ月
 私の学校「カリガリ」
 風俗街近くのバイト
 「山下洋輔トリオ」を呼ぶ
 イベントのたびに変わる錠
 浅川マキの「こだわり」
 小石原の窯元に弟子入り
 崩れゆく民芸の根幹
 衝撃だったカルロ・ザウリ
 イタリア行きと資金集め
 優秀な陶芸家が集まる地に
 その作品はおまえのものか
 始まったファエンツァ生活
 帰国、そして金峰山へ
 慌てない腰の据わった男
 「屯泥の会」
 「ハマダ・チメイですが」
 長く続いた「アトリエ会食」
 「オドラデク」のような存在
 器とオブジェを作る先達
 悩みの種
 土の質感の美しさと面白さ
 本だけが生き続けていた
 見知らぬ土地に行きたい
 「おまえは修業が足りん!」
 私にとっての旅だったのか

ダイレクトメール・メモ
山幸の人と作品【素描・追悼】

著者プロフィール

山本 幸一(ヤマモト コウイチ)
1947年    福岡県、大牟田市に生まれる
1972〜74年  福岡県朝倉郡小石原 梶原二朗氏に学ぶ
1975〜76年  ファエンツァ(イタリア) カルロ・ザウリ氏に学ぶ
1976年    熊本市河内町(金峰山)に山幸窯を開く
1979年    熊日画廊(熊本市)初個展。以後、八代市、福岡市、広島市、京都市、東京、沖縄、韓国、米国等で開く。
2020年5月7日逝去。享年73歳



ファエンツァ国際陶芸展(イタリア)入選(1976年)
九州・山口陶磁展 入賞(1989年)
日本陶芸展 入選(1989年)
西日本陶芸展 入賞(1990年)
国民文化祭・おおいた「野外陶芸展」実行委員会会長賞(1998年)



山幸窯では陶芸を志す若者を受け入れ、延べ10人ほどが巣立っていった。

上記内容は本書刊行時のものです。

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