あなたにとって文学とは何か
渡辺 京二(著/文 他)
A5判 中綴じ
定価 550円 (消費税 50円)
ISBN978-4-907902-27-8 C0055
品切れ・重版未定
書店発売日 2021年05月20日 登録日 2021年05月13日
解説
「文学に目覚めたときというのは、 まさに革命だった」。近代史家・渡辺京二の最新講演録。旧制中学時代の文学との出会いから日本と欧米の「近代文学」のあり方、近年発見したディケンズの面白さまで、文学の喜びを語る。
紹介
「文学に目覚めたときというのは、 まさに革命だった」
「文学というのは、『私はこう生きています』という表現であって…
同時に、他者への眼差しというものを持って、世間の中に入っていって、
一人ひとりの人間が生きている姿に興味を持つ、ということなんでしょうね。」
*本書は2021年2月、熊本で行われた同名の講演を収録した小冊子です。
*少部数での刊行のため、売り切れ次第販売終了となります。
目次
○本書の小見出しより
私(わたくし)の事情小説
文学が〝下降〟してきた
文学への目覚めは〝革命〟だった
伊藤整の文学論
文学だって「野呂松(のろま)人形」のようなもの
近代史の大半は「こういう国家をつくりました」という話
小さきものの近代
ディケンズはなぜ面白いのか
「全ての文学はブラウン夫人から始まる」
文学とは、「私はこう生きたい」という自己の発現
まずは読んでもらうこと
前書きなど
「文学に目覚めたときというのは、まさに革命だったね。それまではさ、僕にも家庭があり親もいるわけで、家での悩みや問題というのがいろいろとあって、小さいながら心を痛めたりすることもあるわけです。それから学校というのは子供にとっての娑婆だから、そこでの、いじめたりいじめられたりする経験もあるわけでしょう。ところが、文学にどっぷり浸かってみると、これまでの世界から自分が突き抜けてしまった。親に対しても、同級生に対しても、距離が取れるようになった。つまり家庭も含めた娑婆から自分が抜け出すことができた。」(本文より)
「文学というのは、『私はこう生きています』という表現であって、(中略)僕はやっぱり、『自分を他者として見てごらん』って思う。(中略)文学というものが必要とされるとするなら、自分の思いというものが他者への眼差しになる、つまり人がこんな風にして生きている、あんな風に生きているというのがまた自分に返ってくる、そういうものを描く文学であれば、豊かな文学になるでしょうね。」
著者プロフィール