日南逍遥
上原ゆうこ(文、写真)
A5判 216ページ 並製
価格 3,080円 (消費税 280円)
ISBN978-4-908869-23-5 C0072
在庫あり
書店発売日 2023年09月20日 登録日 2023年07月26日
解説
宮崎県日南市に残る伝統と人びとの暮らしを追いかけた10年余りの写真と文による記録
紹介
宮崎県日南市を撮り続けた10年にわたる記録。
3章からなり1章は3世帯4人が暮らす里山の暮らしと彼らの生き方を紹介したもの
2章は日南に残る伝統のひとつ「さとねり」の製法を守りながら黒砂糖づくりをつづける一家を10年にわたり追いかけた写真と文章による記録。
3章は著者が幼い頃に過ごした日南の様子と、新しく観光や人の流れを取り込もうとする日南市の動き、それにともない力を尽くす人びとの顔を、昔今未来として捉えた記録と願い。
著者が被写体となる人びと、生活文化をただカメラごしに見つめた画像ではなく、ともに10年余りを歩んできた記録でもある。
目次
はじめに
悠久の里山——四人だけの楽園が教えてくれる本当の豊かさ
さとねり——伝統製法、明日につなぐ
日南逍遥——記憶の町は今
おわりに
前書きなど
はじめに より
一、二章で紹介した二話は偶然にも、日南地域の山側と海側に存在する今もなお継続中の記録である。この二つのコミュニティに共通するのは、「継続のむずかしさ」という課題である。少子化・高齢化等の労働力人口の減少により、近い将来集落としての存在が危惧される里山と、文化・伝統継承のむずかしさに直面するさとねり。日本の現社会が抱える境遇にあって、二つのコミュニティで生きる人々は私たちに物言わぬ警鐘を鳴らしている。
新型コロナウイルス感染拡大というパンデミックは世界の動きを大きく変貌させた。さらに歴史的大災害が年を追うごとに肥大襲来する現実に対策が急がれる。今「人・自然・環境」に視点を向ける最後のチャンスが訪れているのではないだろうか。命の尊厳、家族の絆、自然・環境への畏敬、そんな人生の原点ともいうべき生き方を彼らは教えてくれる。
第三章で紹介する日南逍遥は、前章と同じく二〇一四年から現在に至るまでの日南の人々の暮らしを追ってきた。学童時代の二年間を日南で過ごした私の目に、六十数年の歳月が流れた今、日南がどの様に映るのか。第三章を編集しながら改めて過去の記憶が蘇り、懐かしくも現在の日南に驚きと期待の思いがこみ上げてきた。
私のカメラに自然体で映る人々の姿に温かいエールを送っていただければ幸いである。
版元から一言
撮影をはじめて10年。撮り続けるなかで大きく時代とともに変化していく日南とそこに暮らす人びとの生活を見続けた記録である。
客観的に、主観的に、日南での暮らしにのめり込むように撮り続けた著者が残そうと思った一枚には、今、どこに暮らす人びとにとっても考えるべきヒントが写されている気がする。
著者プロフィール
上原ゆうこ(ウエハラ ユウコ)
土門拳友の会会員 写壇翔会員2010年に趣味で写真撮影を開始。その後、宮崎日日新聞フォトコンテスト、 宮崎日日新聞社賞において大賞、特選を受賞。2018年に土門拳文化賞奨励賞を受賞。ほか多数のコンテストで賞をとる。地域の生活文化、伝統行事を切り口に、地域住民が受け継いできた生業をカメラをとおして作品に昇華させている。 上記内容は本書刊行時のものです。
ご注文はこちらから 質問する
在庫あり