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新しく伝え聞いた話を後世に残すために

2023年11月1日

 

西日本新聞社出版チーム 和気寛之

 

 言うまでもなく、新聞社の本業は新聞発行である。一方で、新聞各社は本業以外でいろいろな事業を行っている。そのなかのひとつとして、出版事業を展開する地方新聞社は多い(あえて全国紙は除く)。各社の規模や体制はさまざまだが、地方色豊かな本を刊行している。
 一般社団法人共同通信社に加盟する地方新聞社の出版部門が名を連ねる「全国新聞社出版協議会」(以下、出版協)という団体がある。全部で46社あり、弊社も出版協に参加している。
 各社の出版事業は新聞社、もしくは各グループ社の一部門という形になっていることが大半で、弊社の出版事業は新聞社の一部門という位置付けになる。ちなみに、この専業ではないところに、表に出ない(出せない)苦労があるのだが、これを言い出すと愚痴しか出てこないので割愛する。
 年に1度、この出版協参加社の実務者が集まる会議がある。今年は6月に京都新聞社で行われた。同会議は出版事業の現場を預る各担当者が、日ごろの成果や悩みを出し合い、意見交換や情報共有する場。私は、久しぶりに顔を合わせた方々との話に花が咲いた。ここでは、ライバルというより同士のような存在なのだ。
 この出版協の目玉は年に数回、地元の書店と地方新聞社が共同で催す「全国新聞社ふるさとブックフェア」だ。今年は、ふたば書房御池ゼスト店と京都新聞出版センター、ジュンク堂書店明石店と神戸新聞総合出版センター、興文堂iCITY店、笠原書店岡谷本店と信濃毎日新聞社(長野)で開催された。実施する書店の売場規模にもよるが、25社程度が参加し、1,000冊以上の本が並ぶ大規模なフェアとなる。
 毎回、弊社もお声がけいただき、本を出品している。普段、接点の少ない地域の書店とお客様に実物を見てもらえる、またとない機会。大いに活用させていただいている。これだけのフェアを仕込むのは一苦労で、各社担当者の労を惜しまない姿勢に頭が下がる。
どこの社も厳しい状況には変わりないが、全国各地に仲間がいるようで、とても心強い。くわえて、この「版元ドットコム九州」をはじめ、いろいろな場所や機会で地元版元の諸先輩方から指導いただける。全国、そして慣れ親しんだこの地にも頼れる人がいるなんて、私は恵まれていると思う。
 東京一極集中が当たり前の出版業界だが、地方で出版業を営む意義はあるし、ここでしか作れない本もあるはず。福岡、九州から全国、世界へ。これからも皆さんの力をお借りしながらその一翼を担えるよう、努めたい。

 

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